畜産技術情報 粘着シートを利用したサシバエ対策


 粘着シートを利用したサシバエ対策
農業総合試験場畜産研究部 柳澤淳二


 サシバエはイエバエとよく似た形をしていますが、雌雄共に家畜から吸血する害虫です。
農業総合試験場と(株)タケダとの共同研究で、粘着シート板(写真)を使ってサシバエを捕獲し、牛舎周辺での発生時期や活動状況を明らかにしました。その性質を利用した粘着シート板による効果的な防除方法を紹介します。

1.発生時期
 7月、9月、11月に発生数が増え、秋が深まるにつれてその数が飛躍的に増加します(図1)。
春になって気温が20℃を超すようになると盛んに活動を始め、その数が増加します。11月になると平均気温は平坦地でも10℃を下回るようになりますが、先に紹介したようにサシバエの数は増えます。ただ、成虫の活動は、日中の気温が12℃前後からそれ以上の時間帯に限定されます(図2)。
 発生数は、雨が降らずに乾燥した気象条件下では激減し、逆に適度な降雨の数週間後に急増します。
2.活動方法
 サシバエは赤や黄、黒色よりも、白や青色を好む傾向が観測されました(表1)。
このため、今回使用した粘着シート板の色は鮮やかな青です。
牛の近くではサシバエは低いところを飛び、主に牛の腹や四肢で吸血します。このため、粘着シート板はできるだけ低い所に設置すると効果的です(表2)。
 牛舎周辺では常に多くのサシバエが捕獲される場所があり、外から牛舎に向けて飛翔してくる経路があると推測されました。牛の近くは当然ながら捕獲数が多かったですが、少し離れると、必ずしも牛舎に近い場所ほど多いとは限りませんでした。風通しが良く、樹木等の障害が少ない所を飛翔していることが判りました。ここへの重点的な粘着シートの設置により、効率的な捕獲が可能となります。
写真 使用した粘着シート
(左:縦置き、右:横置き)