簡単に確認できる和牛子牛の発育指標 |
農業総合試験場畜産研究部養牛研究室 |
近年、遺伝的改良が進んだことや、和牛繁殖農家の哺育育成技術の向上により、子牛の市場出荷時体重は年々増加する傾向にあります。県内子牛市場に出荷される子牛を調査すると、平成17年から平成25年までの9年間で出荷時日齢は18日短縮されているにもかかわらず、出荷時体重は11kg増加し、日増体量は全体で0.1kg/日増加しています。 表1 市場出荷子牛の日増体量と出荷日齢
肥育素牛の選択基準には@血統等遺伝的能力、A出荷月齢に応じた発育、B繁殖農家や母牛の過去の評価があげられますが、腹がよく出来た牛が推奨されてきました。一般的に腹が出来た牛とは、肋骨がよく張り出している腹囲のある牛のことです。このような牛は、粗飼料をしっかり食い込み「腹」つまり第一胃がよく発達していると考えられます。子牛段階でしっかりした腹作りができた牛は、肥育期間中に食欲が落ちることなく順調に発育し、枝肉成績が良くなることを経験上肥育農家は知っています。 県内ではこれまで、腹づくりは一般的に外貌での判断で、数値としての指標はありませんでした。そこで今回愛知県農業総合試験場では和牛子牛の胸囲、腹囲を測定して発育との関連について調査しました。 試験には自家産の子牛12頭を用い、子牛市場出荷まで毎月、体重、体高、胸囲、腹囲を測定し、発育状況を調査しました。飼養管理方法は3か月齢まで自然哺乳とし、その後離乳して、数頭の群飼育としました。飼料給与は日増体量を1.0kgに設定しました。 その結果、4か月齢までに腹胸比(腹囲÷胸囲)が1.2に到達した牛は、5か月齢で到達した牛よりも8か月齢での体重が多くなりました。これは4か月齢までに腹胸比1.2に到達すれば、その後順調な発育が期待できるということです。 4か月齢までに腹胸比1.2到達が腹づくりの有効な発育指標となることが明らかになり、また、腹胸比1.2となるための腹囲と胸囲の発育指標を作成しました。 この技術は特別な機材を必要とせず、巻尺1つで繁殖農家が自ら簡単に測定して判断することができます。測定する場所は上の写真のとおりですが@胸囲は肩甲骨後隅直後の胸部を周回、A腹囲は腹部の最深部を周回します。 詳しくは試験場のホームページ内に掲載してある「2014年愛知県農業総合試験場の10大成果」、「農業の新技術No.105」をご覧ください。 http://www.pref.aichi.jp/nososi |