研修会レポート 田原市家畜防疫研修会「地域防疫を一歩進める」


 令和5年度 田原市家畜防疫研修会
開催日:令和5年11月7日


 田原市家畜防疫対策協議会は地域自衛防疫を推進する組織で、豚疾病の清浄化を地域ぐるみで推進するため、組織内に田原市PRRS撲滅委員会を平成23年に発足しました。
 田原市PRRS撲滅委員会は、田原市内の養豚農家(40農場)、田原市、愛知県東部家畜衛生保健所、愛知県東三河農林水産事務所田原農業改良普及課、愛知みなみ農業協同組合、愛知県経済農業協同組合連合会、民間獣医師等を構成員として、PRRS(※1)の撲滅に向けた自衛防疫を推進しています。

田原市PRRS撲滅委員会
皿井委員長(生産者)あいさつ
 平成29年度からは、地域の自衛防疫組織を核とした豚疾病の清浄化の取組みを支援することを目的とした地域養豚生産性向上対策支援事業(※2、現事業名に参加し、PRRS清浄化に向け、地域の関係機関・団体の連携により、導入から出荷までの工程における 衛生対策の強化と、地域一体となった疾病の発生低減・清浄化を推進するための 会議等を開催しています。

 事業の一環として 令和5年11月7日に田原市文化会館を会場として、千葉県旭市でイデアス・スワインクリニックを開設し、養豚の地域防疫コンサルタントとして活躍されている、獣医師の早川結子先生を講師としてお招きして、講演会を開催し、養豚農家をはじめ地域の畜産関係者67名が参加しました。
 「地域防疫を一歩進める」をテーマとした講演では、個々の農場での防疫体制の強化 だけでは限界が ある養豚密集地域において、一歩進めて、「地域ぐるみ」の防疫体制 を構築し、養豚密集地域の「弱み」を共有して、それを克服する 地域ぐるみの組織づくりが大切であることを強調され、具体例として、豚出荷時の個別農場の取組みでは限界がある出荷車両、と場での出荷防疫について、関係者と協議して 地域ぐるみで 出荷防疫 ネットワークを構築した実践事例について紹介がありました。

イデアス・スワインクリニック
早川結子 先生

講演を聴講する生産者等
 また、地域ぐるみのPRRSシークエンス検査の実施は、ウイルス株の「農場間のキャッチボール」など、地域内での特性を共有するうえで有効ではあるが、一歩進めて、個々の養豚農家のPRRS検査結果を情報開示し、地域内で迅速に共有する体制を整備することが、他の地域からのウイルス株侵入の監視強化など、バイオセキュリティ上重要であるとの説明がありました。
 今回の講演「地域防疫を一歩進める」は、地域養豚生産性向上対策支援事業を活用して「地域ぐるみ」の防疫を実践、推進している田原市PRRS撲滅委員会の活動に弾みをつける良い機会となりました。

※1
PRRS:豚繁殖・呼吸障害症候群
※2
@補助元は、日本中央競馬会
 社会貢献の一環として、国の畜産振興諸施策を補完、総合的な観点から畜産振興が図られるよう、民間の事業主体における畜産の振興に資するための事業に対して支援。
A「地域養豚生産性向上対策支援事業」
 公益社団法人中央畜産会が事業提案(公募)して、日本中央競馬会により採択された事業 。
B公益社団法人愛知県畜産協会
 公益社団法人中央畜産会から計画承認を受けた当該事業の事業実施主体として、地域一体となって疾病清浄化に取り組む田原市PRRS撲滅委員会の活動を支援。